絵を描きながらほけーっと暮らす毎日。 徒然と日常を書けたらいいなーと思ってます。

        こたっちゃん


なつのはじまりのにおいがする はれたあさ
うさぎのきょうだいが生まれました



おとうさんは まっくろい宝石のような大きなひとみ
おかあさんは たいようのようなまぶしい毛並み

愛らしいきょうだいたちも 
それぞれ美しいひとみや ベルベットのような毛並みを持っていました

ただ いちばんうえのこうさぎには 
かたほうの目がありませんでした

それでもきょうだいたちはこうさぎと仲良しでしたし
おとうさんもおかあさんも こうさぎをあいしていました
だからこうさぎは 自分の目のことなどかんがえなくてもよかったのです



こうさぎはきれいなものを見るのが好きでした

あおい空や かぜになびく草原 
太陽にてらされて黄金にひかるきょうだいたちの毛並み

『あぁ きれいだなぁ』

こうさぎはうれしそうにいつもそれらをながめていました



やがてうさぎたちに 恋するきせつがやってきました

みんな うきうきそわそわ 
ときに不安そうに だれかがだれかをおもうようになりました

ある日こうさぎのところへ にばんめのきょうだいがそうだんにやってきました
にばんめのきょうだいは いとしいだれかの えがおがみたい と言って 泣きました

そのひとみがそのなみだが
あまりにあまりに 
あまりにきれいだったので

こうさぎは ことばをかけてやることもできませんでした



その日から こうさぎは不安になりました

あのきれいなひとみと ぼくのひとみ
おなじものが おなじように見えているのかしら

ぼくのみたきれいなものは みんなにはどう見えているのかしら

ぼくのすがたは ぼくがみるのとおなじように、みんなに見えているのかしら

おなじじゃない、きっとおなじじゃない
だってぼくには ぼくにはみんなの はんぶんしかないもの・・・



泉にうつる じぶんのすがたをみながら こうさぎは泣いていました
しげみの中からだれかのあしおとがします

そっと近付いてきた愛らしい茶色のうさぎは、こうさぎをすきだといいました

こうさぎは
『そんなはずはない だってぼくの見てるきみときみの見てるぼくはちがうもの』
そういって はしってにげました



もう こうさぎにはたくさんのものを しんじることができなくなっていました

ただひとつ しんじていいもの しんじられるもの
じぶんのみている そこにあるものさえ

    

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